Local Desserts in Italy – イタリアの郷土菓子 –

アマレッティ (Amaretti)

イタリアの伝統菓子の一つ。アーモンドを粉にしてメレンゲを加えて焼き上げたもので、マカロンの原型ともいわれています。名称はイタリア語の “amaro(苦い)”に由来し、後味にビターアーモンドのほろ苦さが口の中に広がります。紅茶やコーヒーのお供はもちろん、本場のイタリアではデザートワインと頂くこともあるそう。

カッサータ (Cassata)

シチリア発祥の伝統的なケーキ。リコッタチーズとスポンジケーキをマジパンで包み、アイシング(糖衣)やシロップ漬けのフルーツで華やかに飾り付けられます。

その起源には諸説あるものの、9世紀初頭シチリアを侵攻してきたアラブ人たちから伝わったといわれています。日常的に親しまれているデザートですが、特にカーニバルの時期には多く提供されます。

カンノーロ (Cannoli)

南イタリア・シチリア島発祥のお菓子。筒状のパイの中にはリコッタチーズのクリームが詰められており、ピスタチオ・オレンジピール・チョコレートなどの装飾が施されています。

その歴史は、9~11世紀頃のイスラーム統治時代が起源であるとされています。当時、シチリア島中部・カルタニセッタにてアラブの首長の側室たちによって考案された。または、この地の修道女たちによって生み出されたなど諸説あるようです。

ゼッポレ (Zeppole)

揚げシューのような生地に、カスタードクリームと果実のシロップ漬けを乗せたイタリア南部発祥のお菓子。イタリアの父の日(3/19)に食されることから「ゼッポレ ディ サン ジュゼッペ」とも呼ばれています。

この日はイエス・キリストの養父/聖ヨセフ(サン・ジュゼッペ)を祝う日でもあり、一説には彼が揚げ物屋を営んでいたことから、このお菓子が食べられるようになったのだとか。

トルタ・ミモザ (Torta Mimosa)

ミモザの花に見立てたイタリアのケーキ。クリームとスポンジの層になったケーキで、表面は角切りまたは粉状にされたスポンジに覆われています。

3月8日は、政治や社会においてジェンダー平等の実現を目指す国際的な記念日「国際女性の日」ですが、トルタミモザはこの記念日と密接な繋がりがあります。

イタリアでは「ミモザの日」と呼ばれており、この日にはトルタミモザを食べたり、女性へミモザの花束を贈ったりする習慣があります。

ポレンタ・エ・オゼイ (Polenta e Osei)

イタリアのロンバルディア州・ベルガモの郷土菓子。同名の肉料理を模したケーキで、黄色いマジパン(粉末のアーモンドと砂糖・卵白を混ぜてペースト状にして固めたもの)の上に小鳥の形をしたチョコレートが飾られています。

スフォリアテッラ (Sfogliatella)

イタリア南部ナポリ地方の焼き菓子。貝殻をかたどった何層にも重なったパイ生地に、リコッタチーズやカスタードクリームが入ったお菓子で、イタリア語で「ひだを何枚も重ねた」を意味します。

18世紀頃、アマルフィ海岸沿いのサンタローザ修道院で、食材の残り物(セモリナ生地、ドライフルーツ、砂糖、リモンチェッロ)から作られたのがスフォリアテッラの起源であるといわれています。

ジェラート (Gelato)

イタリア語で「凍った」を意味する氷菓子の総称。一般的なアイスクリームに比べて乳脂肪分が少なく、バニラ・チョコレート・ヘーゼルナッツ・アーモンド・ピスタチオなど様々な種類があります。

ジェラートの先駆者として知られているのが、イタリアの舞台デザイナー、建築家、芸術家などで知られるベルナルド・ブオンタレンティ。16世紀のスペイン国王がフィレンツェの名家・メディチ家の宮廷を訪れた際、ブオンタレンティ氏によってジェラートが振舞われたのだとか。

今でも、彼の名に因んだ「ブオンタレンティ」というミルク味のジェラートがあり、多くの人々に親しまれています。

キアッキエレ (Chiacchiere)

油で揚げた生地に粉砂糖をまぶしたカーニバルの代表的なお菓子。「ガラーニ(Galani)」、「ブジエ(Bugie)」、「チェンチ(Cenci)」など地域ごとに多種多様な名称が存在します。

その起源は古代ローマ時代までさかのぼると言われており、伝統的な農業祭・サトゥルナリアを祝うために作られていた「フリクティリア」(Frictilia)と呼ばれるお菓子が原型とされています。

ティラミス (Tiramisù)

コーヒーとリキュールを染み込ませたスポンジケーキやビスケット(サヴォイアルディ)と、マスカルポーネチーズを用いたクリームを交互に重ねて冷やしたデザート。

1970年代、イタリア・トレヴィーゾにある老舗レストラン “レ・ベッケリエ(Le Beccherie)”が初めて提供したといわれており、レストラン元オーナーのアド・カンペオル(Ado Campeol)は「ティラミスの父」と呼ばれました。

その他にも様々な諸説があり、専門家によって意見が分かれるようですが、2017年にはティラミスがイタリア農林食糧政策省によってフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア地域の伝統的な食品リストに登録されました。

パネットーネ (Panettone)

生地にドライフルーツが入ったドーム型のパン菓子。ミラノ発祥のお菓子として知られ、イタリアではクリスマスの時期に食べる習慣があります。

その歴史には諸説あり、パネットーネにまつわる様々な逸話が残されています。中でも最も有名な逸話の一つは、15~16世紀頃ミラノを統治していたスフォルツァ家の話です。

ミラノ公 ルドヴィーコ・スフォルツァ (Ludovico il Moro)の宮廷のシェフがクリスマスの晩餐会の準備中に失敗してしまったドルチェの代わりに、見習いの少年・トニによって即席で作られたケーキが供されました。

図らずもそのケーキは大いに好評を得たため、ルドヴィーコ氏は彼に敬意を表してケーキの名前を「パン・ディ・トニ」と名付けたのだそうです。

カントゥッチ (Cantucci)

トスカーナ州・プラート発祥の堅焼きビスケット。広くは「ビスコッティ」の名称で親しまれているお菓子で、“Vin Santo”と呼ばれるデザートワインに浸しながら頂くのが伝統的なスタイルです。

その起源は諸説ありますが、カントゥッチが世界に広く知られるようになったのは、19世紀後半のこと。イタリアの菓子職人アントニオ・マッテイは、1858年にトスカーナ州・プラートに“Biscottificio Antonio Mattei”を開業、アーモンドをふんだんに使用した「ビスコッティ ディ プラート」を製造・販売しました。

1862年のロンドン、1867年のパリで開催された万国博覧会では、賞を受賞するほど高く評価されました。

ザバイオーネ (Zabajone)

ピエモンテ州の名物として知られるムース状のクリームです。砂糖や卵黄、マルサラワインなどから作られるもので、デザートとしてそのまま頂いたり、ソースとして用いられたりします。

その歴史には数多くの逸話が残されており、明確な起源は明らかにされていません。ティラミスと同様、イタリア農林食糧政策省によって2015年、ロンバルディア州の伝統的な食品リストに登録されました。

アフォガート (Affogato)

ミルクまたはバニラ風味のジェラートに淹れたてのエスプレッソをかけたイタリアのデザート。アマレットやビチェリン、カルーアなどのドリンクをかけたものもあります。伝統的には“Affogato al Caffe”と呼ばれ、これは「コーヒーに溺れた」を意味します。

イタリアのカフェやレストランでは、アフォガートをドルチェとして提供しているのが一般的ですが、その他の国や地域によっては飲み物として提供されることもあるのだそう。

コロンバ・パスクワーレ (Colomba Pasquale)

キリスト教のイースターの時期に食されるイタリアの甘いパン。オレンジピールが練りこまれた生地に、フロストシュガーやアーモンドなどをトッピングして作られます。平和の象徴として知られる鳩の形をしており、その名称はイタリア語で「復活祭の鳩」を意味します。

パスティエーラ・ナポレターナ (Pastiera Napoletana)

イタリア南部・ナポリで親しまれているイースターのお菓子。その起源には諸説ありますが、有名な伝説として人魚パルテノペのお話があります。

ナポリ湾に響いていた彼女の美しい歌声への感謝のしるしとして、人々はリコッタチーズ、小麦粉、卵、牛乳、砂糖、オレンジフラワーウォーターなどの食材を贈りました。パルテノペはこれらの食材を使ってこのお菓子を生み出しました。

チャンベッラ (Ciambella)

イタリアのリング状のケーキ。朝食やクリスマスやイースターなどの行事食として親しまれるお菓子であり、地域によってバリエーション豊かなものが作られています。チャンベラは、イタリアのPAT(伝統農業食品)にも登録されています。

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出典:

・ITALIA.IT:https://www.italia.it/en
・culture trip:https://theculturetrip.com/europe/italy/articles/10-delicious-italian-desserts-you-need-to-try/
・tasteatlas:https://www.tasteatlas.com/100-most-popular-desserts-in-italy
・洋菓子百科事典 吉田 菊次郎 (著)
・イタリア菓子図鑑 お菓子の由来と作り方: 伝統からモダンまで、知っておきたいイタリア郷土菓子107選 佐藤 礼子 (著)

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