Traditional Costumes in Europe – ヨーロッパの伝統衣装 –

タラズ (Taraz)、アルメニア

アルメニアの伝統的な衣装。その名称は衣服のみならず、帽子から履物、アクセサリーに至るまで、身に着ける一連のアイテムを指します。地域や階級、富、結婚歴などによってデザインや身に着けるものが異なり、衣装を通じてそれぞれのアイデンティティを表す役割も果たしています。

14世紀アルメニアの神学者・哲学者だったグリゴール・タテヴァツィ氏(Grigor Tatevatsi)によれば、アルメニアの衣装に用いられる色は、土(黒)・水(白)・空気(赤)・火(黄)の4つの要素を表現しています。

サルデーニャ島の民族衣装 (Sardinian Costumes)、イタリア

イタリア・サルデーニャ島の伝統的な衣装は地域や社会的地位、結婚歴、職業などによって多種多様なものがあり、その種類はおよそ400を超える衣装が存在するといわれています。

女性は頭をベールやスカーフで覆い、白いブラウスと長いプリーツスカートの上にエプロンやジャケット(またはベスト)を身に着けるのが一般的です。色とりどりの生地には繊細な刺繍が一面に施されており、至る所に身に着けられた煌びやかな宝飾品は衣装をさらに華やかに魅せます。

ヴィシヴァンカ (Vyshyvanka)、ウクライナ

ウクライナを代表する伝統的な衣装。主に白い生地に繊細な刺繍が施されたシャツまたはブラウスのことで、現在は結婚式や祝祭日など特別な機会に着用されるのが一般的です。

衣服の首まわりや袖、肩など至るところに施された刺繍には、幾何学模様や花、動物など地域によって様々なパターンがあり、これらは病気や災いから身を守るための魔除けとしての意味も込められています。

ディアンドル (Dirndl)、オーストリア / ドイツ

オーストリアおよびドイツのバイエルン地方などで着用される女性用のエプロンドレス。「ボディス」と呼ばれる胴衣や襟ぐりの深いブラウス、ギャザースカート、エプロンなどで構成されています。

アルプス山岳地域に住む女性の作業着が原型と考えられており、19~20世紀頃に庶民から上流階級まで広く着られるようになりました。 

フォーレンダムの伝統衣装 (Volendam Costume)、オランダ

オランダ西部・北ホラント州にあるフォーレンダムの伝統的な衣装。「クラプラプ」と呼ばれる花柄の胴着や襟ぐりの深い上衣、スカート、エプロン、頭飾り、木靴などで構成されています。中でも最も特徴的なのが「フル」と呼ばれるレース製の頭飾りで、耳元に翼のような張出しがあります。

フスタネラ (Fustanella)、ギリシャ / アルバニア

ギリシャのをはじめ、アルバニアなどバルカン半島諸国で着用される男性の衣装。ギリシャ・アッティカにあるヴァリ洞窟に、フスタネラによく似た衣服のレリーフ(紀元前4世紀頃)が発見されたことから古代ギリシャ時代に起源があるという説や、オスマン帝国時代にアルバニアからギリシャに伝わったという説など、その歴史には諸説あります。

現在は儀仗部隊や民族舞踊の衣装として着られており、ギリシャでは爪先に黒い“ポンポン”がついた「トラルヒ」と呼ばれる革靴を合わせます。

チョハ (Chokha)、ジョージア

ジョージアの男性が着用する伝統的な衣裳。その歴史は9世紀頃までさかのぼると考えられており、もともとは戦闘服であったため、胸のポケットには銃弾を携帯し、腰には短剣を身に付けていました。

ソビエト統治時代には着用を厳しく制限されたこともありましたが、現在は公式行事や婚礼など特別な日に着用されます。 

キルト (Kilt)、スコットランド

スコットランドの巻きスカート状の伝統衣装。生地にはタータンチェックの毛織物が用いられており、この色柄はかつて氏族や階級を表していました。キルトの他には、腰に巻く小さなポーチ「スポラン」や「キルトピン」、儀式用の短剣「スギアン・ダブ」などを身に着けるのが一般的です。

現在のようなキルトが着られるようになったのは17世紀頃だと考えられていますが、18世紀にスコットランド北部・ハイランド人たちの反逆を恐れた英国政府によってキルトの着用が禁止されました。

一方、ハイランド伝統文化復活を求めて設立された「ハイランド協会」によって、1782年にこの法律は廃止されました。現在キルトは、スコットランドの軍服に採用されている他、祭日や儀式などで着用されます。

フラメンコの衣装 (Flamenco Costume)、スペイン

スペイン南部・アンダルシア発祥の伝統芸能「フラメンコ」の衣装。もともとアンダルシア地方の女性労働者やロマ族(北インドを起源としてヨーロッパを中心に居住している民族)たちが身に着けていた柄物のワンピースとフリル付きのエプロンが原形と考えられており、後に上流階級の女性たちの間で注目を集めるようになりました。

クロイ (Kroj)、チェコ

チェコの女性が着用する伝統的な衣装。地域や集落によってさまざまなデザインがありますが、中でも特に華やかな衣装として知られるのがモラヴィア地方のクロイです。

飾り襟やボリュームのある袖、カラフルで繊細な刺繍、前後2枚の生地が組み合わさったスカートなど手の込んだデザインに目を奪われます。

ブーナッド (Bunad)、ノルウェー

ノルウェーの民族衣装の総称。450種類を超える衣装があるといわれており、繊細で華やかな刺繍や銀細工の装飾が特徴です。現在は主に祝祭日に着用されることが多く、特に例年5月17日の憲法記念日ではブーナッドを着てお祝いする習慣があります。

スクマーン (Sukman)、ブルガリア

ブルガリアの女性が身に付けるジャンパースカート型の衣装。腰には、色とりどりの刺繍やビーズ、スパンコールなど華やかな装飾が施されたエプロンを付けます。頭飾りは既婚・未婚・地域によって異なり、スカーフや帽子、花冠など様々なものがあります。

イエ (Ie)、ルーマニア

ルーマニアの女性が身に付けるブラウス。地域によって色や柄に違いがあるものの、基本的には胸元や腕に繊細な刺繍やビーズの装飾が施されています。イエはルーマニア文化のシンボルの一つであり、毎年6月24日にはイエの展示会(イエ・デー)が世界中で行なわれます。

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