

カーディナルシュニッテ (Kardinalschnitte)
オーストリア・ウィーンを代表する郷土菓子。メレンゲとスポンジケーキをストライプ状に焼き上げた生地に、クリームやジャムを挟んで作られます。
その名称はカーディナル(Cardinal) =「枢機卿」、シュニッテン(Schnitte) =「切り菓子」を意味し、黄色と白色の生地はカトリックの総本山のバチカンを、赤色のジャムは枢機卿を象徴しているとされています。
1933年、ウィーンのペストリーショップ “L.Heiner”で、カトリックの祭日に作られたのがはじまりなのだそうです。

ザッハートルテ (Sachertorte)
世界的に知られているオーストリア・ウィーンの名物。アプリコットジャムが塗られたチョコレートスポンジ生地を、チョコレートの糖衣で覆ったケーキで、1832年オーストリアのパティシエ/フランツ・ザッハーによって考案されました。
当時オーストリア宰相、クレメンス・メッテルニヒの邸宅で見習いをしていたフランツ・ザッハー氏。突然の病に倒れたシェフの代役として、16歳という若さで急遽このデザートを編み出し、貴族の間で大変好評を得たのだそうです。
フランツ氏の次男が開業したホテル・ザッハー(1880年~)で人気を博したものの、宮廷御用達菓子店・デメルとザッハー・トルテの販売権を巡って論争が起きました。
7年間の裁判の末、ホテル・ザッハーは「オリジナル・ザッハートルテ」として、デメルは「デメルのザッハートルテ」として販売するよう判決が下されました。

リンツァートルテ (Linzertorte)
オーバーエスターライヒ州の州都・リンツ発祥のお菓子。アーモンドパウダーやシナモン、クローブなどから作られる生地にレッドカラント(赤スグリ)ジャムを載せて焼き上げます。
リンツァートルテの原型となったのは「リンツァー・マッセ」と呼ばれるお菓子で、これは世界最古のトルテともいわれています。日常的に親しまれているケーキですが、クリスマスの時期に食べる習慣もあるそうです。

エスターハーツィ・トルテ (Eszterházy Torta)
4~5層のアーモンドメレンゲの生地にバタークリームを挟んで作られたケーキ。20世紀頃ハンガリー・ブダペストの菓子職人によって作られたもので、ハンガリーの貴族であり、オーストリア帝国の外交官を務めたパウル・アントン・エステルハージに因んで名付けられました。
当時オーストリア = ハンガリー帝国で広まり、帝国内で最も有名なケーキの一つとして親しまれていたそうです。

グーゲルフップフ (Gugelhupf)
オーストリアやドイツ、フランスのアルザス地方で親しまれているリング状のケーキ。その歴史には諸説ありますが、ニーダーエスターライヒ州のカルヌントゥム遺跡でグーゲルフップフの型に似た陶器が出土していることから、古代ローマ時代には作られていたのではないかと言われています。
後にオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフが好んで食べていたことで、上流階級を中心に高級菓子として広まるようになりました。
かのマリー・アントワネットがフランス国王ルイ16世へ嫁ぐ際に、グーゲルフップフをフランスに持ち込んだという逸話が残されていますが、専門家の中にはフランス発祥説を唱える人もいるそうです。
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