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フィッシュアンドチップス (Fish & Chips)、イギリス
イギリスを代表する料理の一つ。白身魚のフライにポテトフライが添えられたシンプルな料理で、ファストフードとして親しまれています。産業革命による鉄道網の整備で迅速に鮮魚が輸送できるようになったため、安価で腹持ちの良いフィッシュ・アンド・チップスは労働者階級を中心に普及されるようになりました。
アランチーニ (Arancini)、イタリア
イタリア・シチリア名物のライスコロッケ。中身は、ミートソースとエンドウ豆、バターとベシャメルソース、その他バリエーション豊かなアランチーニが存在します。日常的にも親しまれている料理ですが、12月13日の「聖ルチア祭」には伝統的にアランチーニを食べる習慣があります。
それは、シチリアが大飢饉に見舞われた1646年のこと。聖ルチア祭の日に小麦を搭載した船が到着し、人々を飢餓から救ったという伝説があります。この日は小麦のありがたさを再認識するため小麦製品を控え、米料理を食べるという習慣があります。
ボスナ (Bosna)、オーストリア
オーストリア・ザルツブルク市名物のファーストフード。ソーセージや薄くスライスした玉ねぎ、マスタード、カレー粉を白パンに挟んだサンドイッチで、1949年にブルガリア出身のツァンコ・トドロフ氏によって考案されました。
ボスナが生み出されたファーストフード店「バルカン・グリル」は、モーツァルトの生家があることで有名なゲトライデガッセ33番地の路地にあり、今もなお多くの人々で賑わっています。
ポッフェルチェ (Poffertjes)、オランダ
オランダの伝統的なミニパンケーキ。小麦粉やそば粉、酵母の生地を焼き上げて作られるもので、街中の屋台で販売されることが多いです。焼きたてのポッフェルチェには、粉砂糖やバターや糖蜜、ホイップクリームなど様々なトッピングをかけていただきます。
ギロス (Gyros)、ギリシャ
ギリシャで親しまれている伝統的なストリートフード。薄切り肉を串に刺し重ねた塊を、回転させながら火で炙って、焼けたところからそぎ切りにした料理です。
一般的に野菜とともにピタと呼ばれるギリシャのパンに挟んで食べられることが多いですが、お皿に盛り付けをして供されることもあります。その起源は、1920年代初頭、トルコからの移民によってトルコのドルネケバブが伝わったのが始まりであるとされています。(諸説あり)
ハチャプリ (Khachapuri)、ジョージア
ジョージアのチーズパン。チーズや卵黄、バターなどがトッピングされた地域ごとに異なるものが存在し、その種類は47種にも上るそうです。2019年にはハチャプリの伝統が国の無形文化遺産に登録され、2月27日は「ナショナル・ハチャプリ・デー」として定められました。
チュロス (Churros)、スペイン
スペインで朝食や軽食として親しまれている揚げ菓子。砂糖をまぶしたり、ホットチョコレートに浸したりしていただきます。
その起源は諸説あり、16世紀初頭の中国・明に訪れたポルトガル人が、中国の揚げパン「油条(Youtiao)」を模したものとしてチュロスが作られ始めた説。
他には、スペインの羊飼いが長期に渡る野外活動でも作ることができるパンの代用としてチュロスが作られるようになった説などがあります。この場合、「チュロス」という名称は羊の「ナバホ・チュロ」の角に形が似ていることに由来すると考えられているそう。
フリカンデラ (Frikadeller)、デンマーク
デンマークのミートボール。その起源は明らかにされていませんが、およそ200年の歴史の中で親しまれてきた料理の一つです。子牛や豚ひき肉、小麦粉、牛乳、玉ねぎなどから作られ、ライ麦パンに載せたり、ブラウンソースを付けたりしていただきます。
カリーヴルスト (Currywurst)、ドイツ
ドイツ・ベルリン名物のファストフード。焼いた(茹でた)ソーセージの上にケチャップとカレー粉(カレーソース)をかけたシンプルな料理です。その起源には諸説あるものの、1949年ドイツ人女性・ヘルタ ホイヴァー氏が考案したという説が最も有力な説として知られています。
2019年には、カリーヴルスト発売70周年を記念して、カリーヴルストとヘルタ ホイヴァー氏が描かれた記念硬貨が発行されました。また、ヘルタ ホイヴァー氏が経営していた屋台跡地には、彼女の名前が刻まれた銘板を目にすることができます。
クルトシュカラーチ (Kurtoskalacs)、ハンガリー
ハンガリーやチェコ、ルーマニアで親しまれている焼き菓子。ハンガリー語で 「クルトシュ(Kürtős) = 煙突」、「カラーチ(Kalács)= ケーキ」を意味します。 棒にパン生地を巻きつけて回転させながら焼き上げるお菓子で、シナモン・ココア・ナッツなど様々なフレーバーがあります。
ベルギーワッフル (Belgian Waffles)、ベルギー
世界的に有名なベルギーのお菓子。甘さ控えめの四角い形をしたブリュッセル・ワッフルと甘くて丸い形をしたリエージュ・ワッフルの2種類があります。街角のスタンドなどでは、フルーツやホイップクリーム、チョコレートソースなど様々なトッピングがされたワッフルが店頭に並べられています。
ザピカンカ (Zapiekanka)、ポーランド
ポーランドのファストフードの一つ。縦に切ったバゲットに野菜やチーズ、ケチャップなど様々な具材をのせたオープンサンドで、パイナップルを用いたハワイアン風やオリーブとフェタチーズを用いたギリシャ風など多種多様なものがあります。
その歴史は1970年代、ポーランド統一労働者党第一書記を務めたエドワード・ギエレク氏(Edward Gierek)がバゲット製造のライセンスをフランスから購入したことがはじまりだと考えられています。
パステル・デ・ナタ (Pastel de Nata)、ポルトガル
丸い生地にカスタードクリームを詰めて焼いたポルトガルのタルト。マカオを経由してアジア地域に広まったものは「エッグタルト」として親しまれています。1837年創業“Pastéis de Belém”のパステル・デ・ナタが有名です。
その歴史は、リスボンのベレン地区にあるジェロニモス修道院の修道女たちによって考案されたといわれています。しかし、1820年のポルトガル王国で起こった「自由主義革命」によって国内の修道院が閉鎖に追い込まれ、行き場をなくした修道士たちはパステル・デ・ナタを売って生計を立てたのだそうです。
パステル・デ・ナタの伝統的なレシピは、1837年に創業された菓子店 “Pastéis de Belém” によって受け継がれ、今でもなお、多くの人々に愛され続けています。
ピロシキ (Pirozhki)、ロシア
ロシアの屋台の定番料理の一つ。生地に肉や魚、卵、キノコ、キャベツなど様々な具材を詰め、揚げたり焼いたりして作られます。セイボリー系のものが一般的ですが、ジャムや果物が入った菓子パン風のものもあります。
エスプミージャ (Espumilla)、エクアドル
スペイン語で「泡」を意味するエクアドルのメレンゲ菓子。卵白や砂糖、フルーツピューレなどから作られるもので、アイスクリームコーンに盛り付けて供されます。
グアバの果汁が用いられたものが一般的ですが、店によってバナナやイチゴ、ブラックベリーなどのフレーバーが提供されていることもあります。
プティン(Poutine)、カナダ
カナダの名物料理のひとつ。フライドポテトにチーズカード(牛乳を酵素で固めた熟成前のチーズ)と、グレイビーソースをかけて作られるもので、1950年代にケベック州で初めて作られたとされています。カナダ全土で広く親しまれており、トロントやオタワなどでは毎年“プティンフェスティバル”が行われます。
オブレアス (Obleas)、コロンビア
コロンビアの露店で多く目にするお菓子。「アレキペ(Arequipe)」と呼ばれるキャラメルソースやチーズ、コンデンスミルク、フルーツジャムなどのトッピングを組み合わせ、薄く丸いウエハースに挟んで供されます。コロンビアのみならず、ベネズエラ、エルサルバドル、メキシコなどの国々でも親しまれています。
ペッパードシュリンプ (Peppered Shrimps)、ジャマイカ
ジャマイカで人気の屋台のメニューのひとつ。ニンニクや唐辛子、バターなどでエビをソテーしたシンプルな料理で、屋台では小さなビニール袋に入れて提供されています。
ピカロネス (Picarones)、ペルー
カモテ(サツマイモ)やサパ―ジョ(カボチャ)などが入った生地を油で揚げたペルーのドーナツ。露店で親しまれているお菓子の一つで、「チャンカカ」という甘いシロップをかけていただきます。
その前身はスペインのお菓子「ブニュエロ」だといわれており、ペルーのスペイン統治時代にレシピとともに小麦粉や砂糖が持ち込まれました。しかし、当時小麦粉は大変高価だったため、その代替品として現地の食材が用いられ、現在のような形になったと考えられています。
タコス (Tacos)、メキシコ
とうもろこしの粉で作られたトルティーヤに様々な具材を包んだ料理。約6,000年前、メキシコ中央高原の先住民の携帯食として作られ、当時フリホーレス(塩茹でしたいんげん豆)や、チレ(唐辛子)などを挟んで食べていたのが、タコスの起源であるといわれています。(諸説あり)
1519年のスペイン植民地時代、当時のメキシコにはなかった豚や牛、羊といった肉類、玉ねぎやニンニク、コリアンダーなどの野菜類が持ち込まれると、さらにバリエーションに富んだタコスが作られるようになりました。
ターメイヤ (Taameya)、エジプト
エジプトのストリートフードとして親しまれるそら豆のコロッケ。その起源は諸説ありますが、コプト教徒(キリスト教の一派)が、肉食を断たなければならない四旬節の期間でも食べられる料理として生み出したのがはじまりといわれています。
そのまま食べることはもちろんのこと、平たいピタパンに挟み、「タヒーナ」(白ごまペーストのソース)をかけてサンドイッチとして食べることもあります。
カシャータ (Kashata)、タンザニア
ピーナッツや砂糖、シナモンやカルダモンなどから作られるお菓子。都市部では路上で売られていることが多く、コーヒーと一緒に食べるのが一般的です。タンザニアの他にも、コンゴやケニアなどの国でも親しまれています。
ファラフェル (Falafel)、イスラエル
中東~北アフリカまで広い地域で親しまれているアラブ料理。細かくつぶしたひよこ豆やそら豆をボール状に丸めて油で揚げたもので、ピタと呼ばれる平たいパンに挟んでいただきます。
ドンドゥルマ (Dondurma)、トルコ
トルコのアイスクリーム。その名称はトルコ語で「凍らせたもの」を意味し、粘り気が強く歯ごたえのある食感が特徴の一つです。アイスクリームの中にはトルコで古くから生薬として用いられてきた植物(サーレップ) が入っており、これが独特の粘りを出しています。
ミルクやバニラが一般的ですが、コーヒーやチャイ、ピスタチオ味などさまざまなフレーバーがあります。
サモサ (Samosa)、インド
炒めたひき肉や野菜、香辛料などの具を、生地に三角錐状に包んで油で揚げたインドのスナック。その名称は、中世ペルシア語の“Sanbosag”(三角形のペストリー)に由来するとされています。
中央アジア~中東で誕生したサモサは、13~14世紀頃のインドに宮廷料理として持ち込まれ、地元の食材や食習慣と結びついて広く親しまれるようになったのだそう。
15~16世紀に書かれたインドの料理本“Nimatnama-i-Nasiruddin-Shahi”には、君主にサモサが提供される様子が描かれています。
サテー (Satay)、インドネシア
インドネシア・ジャワ島発祥の串焼き料理。下味を付けた鶏や牛、山羊などの肉を串に刺して焼き、ピーナッツソースをかけて食べる料理で、シンガポールやマレーシア、フィリピン、タイなど東南アジア諸国で広く親しまれています。
その歴史は、アラブの貿易商人を通じて中東地域の肉料理「ケバブ」が伝えられ、独自に変化を遂げていったと考えられています。
ホットク (Hotteok)、韓国
小麦粉の生地で黒砂糖や蜂蜜などを包み、平たく焼き上げた韓国のパンケーキ。その起源は19世紀後半、韓国に移民してきた中国商人によって生み出されたのが始まりであるといわれています。
市場や屋台の定番の軽食としても知られ、甘いもののみならず中にナッツやチャプチェが入ったセイボリー系のものまで種類豊富にあります。
カオニャオマムアン (Khao Niao Mamuang)、タイ
タイの伝統的なデザート。甘く味付けしたもち米に冷たく冷やしたマンゴーを添え、上からココナッツミルクをかけたもので、マンゴーが旬を迎える4月~5月に多く出回るそう。意外な組み合わせですが、タイにはもち米を使ったお菓子が多く存在します。
魯肉飯 (Lu Rou Fan)、台湾
豚肉の細切れを甘辛く煮込んで白飯にかけた、台湾の定番料理。屋台料理としても親しまれているメニューで、野菜炒めや漬物、煮卵などのおかず数品と一緒にいただくのが一般的です。地域によって味付けや材料が異なり、麺と一緒に食べるところもあるのだそう。
エッグワッフル (Egg Waffle)、中国
ユニークな形状の生地が印象的な中国・香港のワッフル。プレーンの他、フルーツやアイスクリームなどが添えられた様々な種類のものがあります。一説には1950年代の香港で、ひびが入って売り物にならない卵を消費するために考案されたと言われています。(諸説あり)
タホ (Taho)、フィリピン
タガログ語で「豆腐」を意味するフィリピンのデザート。温かい豆腐に黒糖のシロップやサゴ(サゴヤシの幹から採ったデンプン)をトッピングして供されます。露店や行商人によって提供されていることが多く、朝食や軽食として食べるのが一般的です。
バインミー (Banh Mi)、ベトナム
フランスパンに、レバーペーストやハム・野菜の酢漬けなどさまざまな具材を挟んだベトナムのサンドイッチ。ベトナムでは朝食として食されることが多く、早朝から食堂や屋台で頂くことができます。
フランス統治時代にフランスからバゲットが持ち込まれ、現地の食材を挟んで食されるようになったのがはじまりです。1970~80年代には、国外へ亡命したベトナム難民によって世界各国で親しまれるようになりました。
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