

ソーラブロート (Thorrablot)、アイスランド
アイスランド古来の冬の祝宴。アイスランドでは “Þorri (ソーリ)” と呼ばれる旧暦の月 (1月中旬~2月中旬頃) に人々が集まって伝統的な冬の保存食 “Þorramatur (ソーラマートゥル)” を食べる習慣があります。
料理にはスヴィズ (羊の頭) とケーストゥル・ハウカール (発酵させたサメ肉)、 ルグブロイス (ライ麦パン) など様々なものがあり、これらはバイキング形式で供されるのが一般的です。

ハロウィン (Halloween)、Ireland
アイルランド発祥のお祭り。今や世界規模で催される行事として知られていますが、その起源は古代ケルトの祭り「サウィン (Samhain)」だと考えられています。サウィン祭が行われた前日の10月31日は、生者と死者の境界が弱まり、霊魂がこの世に戻ってくると信じられていました。
ケルトの人々はこれらの彷徨う魂を鎮めようとたき火を焚き、自らも仮装をして身を隠していました。19世紀に起こった大飢饉で国外へ逃れたアイルランド人とともにサウィンの文化がアメリカへと伝わり、現在の形になったといわれています。

シュブレタ (Xhubleta)、アルメニア
主にアルバニア北部の山岳地帯で着用されるスカート。鐘型のシルエットが特徴で、生地には縞模様が施されています。現在は日常的に着用されることは少なくなっているものの、伝統的に未婚女性は白黒、既婚女性は黒のシュブレタを身に着けます。2022年には、ユネスコの無形文化遺産 (緊急に保護する必要がある無形文化遺産) に登録されました。

ハチュカル (Khachkar)、アルメニア
アルメニアの伝統的な十字架石。教会・修道院などの宗教施設や墓地に設置されていることが多く、石碑中央部の装飾的な十字架の周りには幾何学模様や植物文様などの美しい彫刻が施されています。その歴史は9世紀頃にさかのぼるといわれており、2010年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

アフタヌーンティー (Afternoon Tea)、イングランド
英国の喫茶習慣。15時~17時頃にデザートやサンドイッチなどの軽食を、紅茶とともに楽しみます。その歴史は1840年代、英国貴族の7代目ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリア・ラッセル (Anna Maria Russell) が夕食までの空腹を紛らわすために始めたといわれています。後に上流階級の間で広まり、社交行事として定着していきました。

ヴェネツィアングラス (Venetian Glass)、イタリア
イタリアの伝統的なガラス細工。ヴェネツィア本島の北東部に位置する島、ムラーノ島で製造されていることから、別名「ムラーノガラス (Murano Glass)」とも呼ばれています。素材は伝統的にソーダ石灰を用いるのが特徴で、現在もその一つ一つが熟練の職人たちの手作業によって作られています。

ラブスプーン (Love Spoon)、ウェールズ
ウェールズの伝統工芸品。17世紀頃、青年が木を彫って作ったスプーンを愛する女性へ贈ったのがはじまりだといわれています。スプーンには多種多様なデザインが施されており、鐘 (=結婚)・ハート (=愛)・蹄鉄 (=幸福)・十字架 (=信仰) などそれぞれ異なる意味が込められています。現在は、結婚式や誕生日、記念日、バレンタインデーなど様々な機会に贈られるのが一般的です。

ピサンカ (Pysanka)、ウクライナ
ウクライナの伝統的な卵細工 (イースターエッグ) 。蜜蠟を使って模様を描き、染料で染める「蝋結染め (ろうけつぞめ)」という技術によって装飾が施されています。色彩豊かな幾何学模様や植物文様などが描かれており、そのデザインは地域によって多種多様なものがあります。2024年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

風車守り (Miller)、オランダ
風車に常駐し、維持管理を行っている人々のこと。国土の4分の1が海面下にあるオランダでは、古くから干拓地 (ポルダー) の排水装置として風車が使われてきました。巨大なウィンチ (重量物の上げ下ろしや移動を行う機械) を操作して風車の羽根を風上に向けることで動力を生み出します。

グリコ・トゥ・クタリウ (Glykó tou Koutalioú)、ギリシャ
ギリシャの果物や野菜、ナッツなどのシロップ煮。ギリシャ語で “γλυκό του κουταλιού (グリコ・トゥ・クタリウ)”といい、別名 「スプーンスイーツ」とも呼ばれています。古くから来客時に飲み物とともにグリコ・トゥ・クタリウを提供し、客人をもてなす習慣があります。現在はアイスクリームやヨーグルトなどのトッピングとして用いられることもあります。

リツィタル (Licitar)、クロアチア
クロアチア北部に伝わる伝統的なジンジャークッキー。クッキーといっても長時間乾燥させてオーナメントとして作られたもので、多種多様な装飾が施されています。多くの場合、ハートの中央に鏡が付けられており、これは「私の心にはいつもあなたが映っている」という意味が込められています。
古くから愛する人へリツィタルを贈る習慣があり、現在はお土産やクリスマスの飾りとしても親しまれています。

クヴェヴリ・ワイン (Qvevri Wine)、ジョージア
世界最古といわれるジョージアのワイン醸造方法。ジョージアのワイン造りはおよそ8,000年の歴史があり、地下に設置された卵型の「クヴェヴリ」と呼ばれる粘土製土器の中でブドウを発酵・熟成させてワインを作ります。この醸造方法は、2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

フィーカ (Fika)、スウェーデン
スウェーデンのコーヒーブレイク。家族や仲間と甘いお菓子やコーヒーを楽しみながらゆったり過ごす習慣のことをいい、ただ単に飲食を楽しむというよりも人との交流を深めることに重きを置いています。コーヒーに添えられるお菓子には様々なものがありますが、「カネルブッレ」(スウェーデンのシナモンロール) が最も一般的です。

フラメンコ (Flamenco)、スペイン
スペイン・アンダルシアのロマ族の間で発達した音楽と舞踊。主にカンテ(歌)、トケ(ギター)、バイレ(踊り)で構成されていますが、その他手拍子や掛け声、靴音など様々な音やリズムが加わって独特の雰囲気を作り上げています。

クレントヴァニエ (Kurentovanje)、スロベニア
スロベニア・プトゥイで行なわれる冬のカーニバル。冬を追い払い、春の訪れをお祝いする行事で、毎年2月・3月に行なわれます。全身を羊の毛皮で覆い、顔に仮面をつけた「クレント」と呼ばれる精霊が町を練り歩きます。

王様騎行 (Ride of the Kings)、チェコ
モラヴィア南部で開催される伝統行事。200年以上にわたって継承されている伝統で、民族衣装を身にまとった少年たちが馬に乗って村落をめぐります。これはかつてハンガリー王がボヘミア王からの逃亡を図り、口にはバラをくわえ女装をして逃げたという伝説を再現しているのだとか。

オクトーバーフェスト (Oktoberfest)、ドイツ
9月半ばから10月にかけてドイツ・ミュンヘンで行われる世界最大規模のビールの祭典。1810年、バイエルン王国の王・ルートヴィヒ1世とテレーゼ王妃の成婚を記念して、競馬が催され、領民にはビールが振舞われたのがはじまりであるとされています。
期間中には、およそ600~700万ℓものビールが消費され、ビールとともにソーセージやプレッツェルなどの料理を楽しみます。

ブショー・ヤーラシュー (Busójárás)、ハンガリー
ハンガリー南部の町モハーチで行なわれる伝統行事。毎年2月~3月頃に催される祭典で、恐ろしげな仮面と衣装を身につけた人々が町中を練り歩きます。かつてオスマン帝国の兵士を撃退するために始まった行事で、現在は冬の終末を告げ、春を迎える行事として行われています。

サウナ (Sauna)、フィンランド
フィンランドの蒸し風呂。高温に加熱された小部屋に入り、身体を温め発汗する入浴法です。サウナストーブに積まれた石に水をかけて水蒸気「ロウリュ (Löyly)」を発生させたり、「ヴィヒタ(Vihta)」と呼ばれる白樺の枝葉を束ねたもので身体を叩いたり、こすったりすることで血行・発汗促進の効果を高めることができます。サウナ後は冷水に浸かったり、雪の上で転がったりして火照った身体を冷ますのが一般的です。

バゲット (Baguette)、フランス
フランスを代表する堅焼きパン。その名称は「細い棒」や「杖」を意味します。その起源は、19世紀オーストリア軍人がパリにパン屋を開いた際にバゲットが作られた説や、かのナポレオンが兵士の制服のポケットに入れて持ち運びしやすいパンを作るよう命じて作られたのがバゲットであるという説など諸説あります。2022年11月には、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。

クッケリ祭り (Kukeri)、ブルガリア
ブルガリア・ペルニク州で毎年1月に行なわれるお祭り。ブルガリア三大祭りの一つで、「クケリ」とも呼ばれています。仮面と大きなベルを付けた人々が町中を行列で練り歩き、その恐ろしい姿と大きな音で悪霊を追い払います。

ベルギービール (Belgian Beer)、ベルギー
ベルギーはドイツと並ぶビール大国です。ベルギービールは、様々なホップやハーブ、果実を使用した多種多様なものが生産されており、国内には1,500以上の銘柄があります。その種類の多さもさることながら、グラスやコースターも銘柄ごとにデザインが異なり、あらゆる所にメーカーの独自性を感じることができます。

ウォヴィチの聖体節 (Corpus Christi)、ポーランド
ポーランドの聖体祭(カトリックの祝日)。ヨーロッパ各地の聖体祭の中でも最大級のイベントです。祝日当日には特別なミサが行われ、伝統衣装に身を包んだ人々が列をなして所々で福音書を読み上げます。

インペリアル・イースター・エッグ (Imperial Easter Egg)、ロシア
宝石で装飾されたロシアのイースターエッグ。ロマノフ朝時代、ロシア皇帝が母親のマリアと妻のアレクサンドラに贈るために、ロシアの宝石商ピーター・カール・ファベルジェ (Peter Carl Fabergé) によって作られました。1885年~1916年の間におよそ50点ものイースターエッグが制作され、現在その一部は世界各地の美術館や博物館に所蔵されています。
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