Festive Dishes Around the World – 世界の行事食 –

コルカノン (Colcannon)、アイルランド

ケールやキャベツ、バター、ミルクなどが入ったアイルランドのマッシュポテト。ハロウィンや聖パトリックの日の定番料理として知られています。ハロウィンにおいては料理の中に指輪やコインが隠され、占いゲームをする習慣があるそうです。

ホット・クロス・バン (Hot Cross Buns)、イギリス

イースターの時期にベーカリーやスーパーマーケットに多く出回る菓子パン。生地にはドライフルーツが練りこまれており、表面には十字架をかたどった文様が入っているのが特徴です。

近年は日常的にも親しまれているものの、「グッドフライデー」と呼ばれるにイースター前の金曜日にいただくのが伝統的な習慣とされています。

その起源には諸説ありますが、1361年イングランド東部・ハートフォードシャーにあるセント・オールバンズ修道院の修道士が貧しい人々のためにパンを配ったことがはじまりであるという説があります。

トルタミモザ (Torta Mimosa)、イタリア

ミモザの花に見立てたイタリアのケーキ。クリームとスポンジの層になったケーキで、表面は角切りまたは粉状にされたスポンジに覆われています。

3月8日は、政治や社会においてジェンダー平等の実現を目指す国際的な記念日「国際女性の日」ですが、トルタミモザはこの記念日と密接な繋がりがあります。

イタリアでは「ミモザの日」と呼ばれており、この日にはトルタミモザを食べたり、女性へミモザの花束を贈ったりする習慣があります。

クティア (Kutia)、ウクライナ

ウクライナのクリスマスの定番メニューのひとつ。小麦やナッツ、ドライフルーツ、はちみつなどから作られるもので、クリスマスイブの夕食の一品として提供されます。ウクライナの他にも、ベラルーシやポーランド、ロシアなど広い地域で親しまれています。

ラインドリング (Reindling)、オーストリア

オーストリア南部・ケルンテン州のお菓子。生地にシナモンやレーズン、バターなどが入った菓子パンで、その名称は陶器のパン焼き型「ラインドル」に因んで付けられたそうです。イースターの時期に食べる習慣があり、ジャムやバター、ハム、卵などさまざまな食材をのせていただきます。

ターイターイ (Taai-taai)、オランダ

アニスと蜂蜜のクッキー。オランダの祝祭/シンタクラースの日に食べられるお菓子で、オランダ語で“Taai (硬い)”を意味します。シンタクラースとは、サンタクロースの原型といわれる聖ニコラスのことで、彼の命日の前日12/5には子どもたちに贈り物を贈る習慣があります。

クラビエデス (Kourabiedes)、ギリシャ

ギリシャのクリスマスの定番菓子。砕いたアーモンドやブランデーが練りこまれた香り高いクッキーで、生地の表面には粉砂糖がたっぷりと振りかけられています。その名称は中東のクッキー「クラビーヤ (Qurabiya)」に由来します。クリスマスのみならず、特別な日に供されることが一般的なのだそう。

バーズラーレッカリー (Basler Läckerli)、スイス

スイス北西部・バーゼル発祥の伝統的な焼き菓子。シナモン・ナツメグ・クローブなどのスパイスやハチミツ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、キルシュ(サクランボのブランデー)などから作られるもので、焼き上げた生地の表面にキルシュアイシングを塗って仕上げます。

一年を通して親しまれているお菓子ですが、クリスマスやお正月など特別な日にも食されます。

カネロニ (Canelons)、スペイン

スペイン・カタルーニャ地方の料理。18世紀頃にイタリアから伝わった料理で、円筒形のパスタを使用するのが特徴です。スペインでは聖ステファノの日(12/26)に食されることが多く、前日のクリスマス・ディナーで残った肉をパスタに詰め、ベシャメルソースをかけていただきます。

ポティカ (Potica)、スロベニア

スロベニアの伝統的な焼き菓子。様々な具材が入った生地を型に入れて焼き上げたお菓子で、イースターやクリスマスなど特別な日に食べる習慣があります。

クルミやヘーゼルナッツ、タラゴン(ハーブの一種)、ケシの実、カッテージチーズなど様々な具材が入ったものがあり、その種類は80を超えると言われています。

2021年4月には、伝統的なレシピや製法に基づいて製造された製品であることを示す、EUの「伝統的特産品保証 (TSG) 」に登録されました。

リスアラマン (Risalamande)、デンマーク

デンマークの伝統的なライスプディング。米、ホイップクリーム、バニラ、刻んだアーモンドから作られるもので、温かいチェリーソースをかけていただきます。北欧諸国では広く親しまれており、クリスマスの定番のデザートとして知られています。

シュトレン (Stollen)、ドイツ

ドイツの伝統的なクリスマスケーキ。ドライフルーツやナッツ、カルダモン、シナモンなどが入った生地を焼き上げ、全体を覆うように粉砂糖をまぶして作られます。その発祥はザクセン州・ドレスデンであるといわれており、この地では例年第2アドヴェントの土曜日にシュトレン祭りが開催されます。

白い粉砂糖がたっぷりかかったその様子は、生まれたばかりのイエスを毛布でくるんだ姿ともいわれています。

ベイグリ (Bejgli)、ハンガリー

ハンガリーの焼き菓子。一般的に、クリスマスの時期に食べる習慣があります。伝統的なベイグリは、生地にクルミやケシの実のペーストが詰められていますが、最近では栗やプルーン、サクランボなどバラエティに富んだものが作られています。ヨーロッパ諸国では、ベイグリによく似たケシの実を使用したお菓子が数多く存在します。

ブッシュドノエル (Bûche de Noël)、フランス

薪の形をしたフランスのロールケーキ。フランス語で “Bûche” =「薪」、“Noël” =「クリスマス」を意味します。古代ゲルマンの冬至の祭り“ユール祭”では、大きな丸太を焚く習慣があり、ブッシュドノエルはこの丸太を模しているといわれています。(諸説あり)

バニツァ (Banitsa)、ブルガリア

ブルガリアの朝食の定番の一つ。薄いフィロ生地にチーズやほうれん草、かぼちゃなど様々な食材を包んで焼き上げたもので、地域や家庭によって多種多様のバニツァが作られます。

ブルガリアでは新年を祝う行事食としても供されることがあり、この時期のバニツァには中にコインや願い事が書かれた紙が詰められて作られます。

ブリヌイ (Blini)、ロシア

そば粉の生地を薄く焼いたロシアのクレープ。ジャムやサワークリームを塗ったり、イクラやサーモンを包んでいただきます。ちなみに「イクラ」はロシア語からきた言葉で、「魚の卵」を意味します。古いスラブの祭り「マースレ二ツァ」では、伝統的にブリヌイを食べる習慣があります。

トルティエール (Tourtière)、カナダ

カナダの伝統的なミートパイ。ケベック州発祥、フランス系カナダ人によって考案されたといわれています。パイ生地の中には牛肉(豚肉)やマッシュポテト、スパイス類が包まれており、クリスマスや大晦日によく食されます。

ボロ デ ブリガデイロ (Bolo de Brigadeiro)、ブラジル

ブラジルのチョコレート菓子“ブリガデイロ”で飾られたケーキ。ブリガデイロとは、ポルトガル語で“准将”を意味し、20世紀のブラジルの政治家エドゥアルド・ゴメスに由来します。デザートととしてはもちろん、誕生日パーティーの定番のお菓子としても親しまれています。

チレス エン ノガダ (Chiles en Nogada)、メキシコ

メキシコの郷土料理のひとつ。ポブラノ(辛味の少ない唐辛子)にピカディージョ(ひき肉と野菜の炒め物)を詰め、クルミ入りのクリームソースとザクロの種をかけた料理です。料理の色合い(緑・白・赤)は、メキシコの国旗を表しており、独立記念日(9/16)前後によく食されます。

スフガニヤ (Sufganiyot)、イスラエル

イスラエルの郷土菓子の一つ。苺ジャムがたっぷり入ったドーナツで、ユダヤ教の祝祭 “ハヌカ”に食されます。ハヌカはB.C.1、ユダヤ人がエルサレム神殿を奪還したことを記念するお祭りで、期間中はハヌキアと呼ばれる燭台に1灯ずつ明かりを灯す習慣があります。

アシュレ (Aşure)、トルコ

イチジク、アプリコットなどのフルーツやナッツ、豆、麦などから作られるお菓子。材料を鍋に入れ、とろみが出るまで甘く煮て作られるお粥のようなもので、特にイスラム暦の1月10日(アシュレの日) に多く食されます。

旧約聖書に登場するノアの方舟に積まれた食料でアシュレが作られたといわれていることから “Noah’s Pudding”とも呼ばれています。

モーダカ (Modak)、インド

インドの郷土菓子。米粉または小麦粉の生地に刻んだココナッツやジャグリー(粗糖)、カルダモン、サフランなどを包んで、蒸すもしくは揚げて作られます。ヒンドゥー教の神ガネーシャの好物として知られ、彼の生誕を祝う祭り “ガネーシュ・チャトゥルティー”ではモーダカが神前に供えられます。

ソンピョン (Songpyeon)、韓国

色付けされたお餅に、緑豆やゴマ、小豆、栗のペーストなどを包んだお菓子。これは、1年の豊作を祈り、先祖に感謝する韓国の伝統行事 “秋夕(チュソク)”の際に作られます。「ソンピョンを上手に作れたら、可愛い子どもが生まれる」という言い伝えもあるのだとか。

粽子 (Zongzi)、中国

中国の伝統行事 “端午節”に食されるちまき。もち米と具材を笹の葉に包み、茹でたり蒸したりして作られます。戦国時代、腐敗した政治に抗議して川に身を投げた詩人・屈原の死を悼んだ漁師達が、葉で包んだご飯を川に投げいれることで、魚や悪竜から彼の身体を守ろうとした伝説が残されています。

ボーズ (Buuz)、モンゴル

モンゴルの代表的な料理のひとつ。細かく刻んだ肉を小麦粉の皮で包んで蒸した、中国の小籠包のような料理です。旧正月(ツァガーンサル)やお祝いの席に欠かせない一品で、行事前になると千個単位のボーズが造られます。準備したものは、冬場零下40℃にもなる戸外で自然冷凍して保存します。

RECOMMENDED POST

List of World Cultures – 世界の文化 –

List of World Cultures – 世界の文化 –

地域別で読む ソーラブロート (Thorrablot)、アイスランド アイスランド古来の冬の祝宴。アイスランドでは “Þorri (ソーリ)” と呼ばれる旧暦の月 (1月中旬~2月中旬頃) に人々が集…

List of World Sandwiches – 世界のサンドイッチ –

List of World Sandwiches – 世界のサンドイッチ –

ブルスケッタ (Bruschetta)、イタリア イタリアの前菜やおつまみとして親しまれている料理。硬く焼いたパンに、にんにくとオリーブオイルを塗り、好みの具材をのせて作られます。 その名称はローマ地…

Different Types of Dumplings from Around the World – 世界の「ギョウザ」-

Different Types of Dumplings from Around the World – 世界の「ギョウザ」-

ヴァレニキ (Varenyky)、ウクライナ ウクライナの代表的な料理。小麦粉を練った生地に肉類やじゃがいも、キャベツ、チーズなど様々な具材を包み茹でたもので、ウクライナの朝食やクリスマスの定番料理と…

List of Teas from Around the World – 世界のお茶 –

List of Teas from Around the World – 世界のお茶 –

アールグレイ (Earl Grey)、イギリス ベルガモットオイルで香り付けされた紅茶の一種。その名称は「グレイ伯爵」を意味し、19世紀イギリスの政治家、チャールズ・グレイ(Charles Grey)…

List of Hot Drinks from Around the World – 世界のホットドリンク –

List of Hot Drinks from Around the World – 世界のホットドリンク –

アイリッシュコーヒー (Irish Coffee)、アイルランド ホットコーヒーにウイスキーと砂糖を加え、上にホイップクリームを浮かべたアイルランドの飲み物。1943年、アイルランドの西海岸にあるフォ…

A Variety of Cookies from Around the World – 世界のクッキー –

A Variety of Cookies from Around the World – 世界のクッキー –

アマレッティ (Amaretti)、イタリア 粉状にしたアーモンドにメレンゲを加えて焼き上げたお菓子。マカロンの原型ともいわれており、その名称はイタリア語の “amaro(苦い)”に由来しています。紅…

Christmas Desserts in Greece – ギリシャのクリスマスのお菓子 –

クラビエデス (Kourabiedes) ギリシャのクリスマスの定番菓子。砕いたアーモンドやブランデーが練りこまれた香り高いクッキーで、生地の表面には粉砂糖がたっぷりと振りかけられています。その名称は中東のクッキー「クラ […]

Read More

Festive Dishes in Greece – ギリシャの行事食 –

スパナコピタ (Spanakopita) ギリシャのほうれん草のパイ。ほうれん草や玉ねぎ、フェタチーズなどを薄いフィロ生地に包んで焼いた料理です。キリスト教の四旬節やその他宗教的断食の際にも食され、その際はチーズや卵を使 […]

Read More

A Variety of Breads in Greece – ギリシャのパン –

ピタ (Pita) 地中海沿岸、中東、北アフリカなど広い地域で食べられている平たく円形のパン。生地の中は空洞になっており、半分に切ったピタに肉や野菜を挟んでサンドイッチのようにしていただくのが一般的です。紀元前2500年 […]

Read More